第10話*追いかけごっこ

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待ち合わせ場所へ行くと、優の姿はまだなかった。 時計台の周りに咲く花に心を奪われる。 「きれい」 そう呟く私に 「そうだね」 という返事。 聞き覚えのない声に、横を見ると。 「だっ、誰っ?」 見知らぬ男と視線がぶつかった。 「君とデートしたいなぁ、って思ってる男だよ」 派手な金髪を揺らし、下品な笑いをする男に背筋がぞっとする。 「待ち合わせしてるんで…」 そういっても全然聞いてないこの男は、 「カラオケとボーリングどっちが好み?」 なんていいながら、私の腕を引っ張った。
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