第12話*不器用な愛情

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「逃げる必要はないのよ」 優へと向けられる、やさしい言葉。 「逃げるだなんて。そんなの…、自分勝手」 そして厳しい言葉。 その口調に誘われるように、ゆっくりと優は顔を上げる。 「逃げて何になるの?相手と自分を傷つけるだけよ」 「……」 「好きな人から逃げる勇気があるのなら、怖がらずに人を愛する勇気を育てて欲しいわ」 そういい、お母さんはグイッとウーロン茶をのどに流す。 「だけど、それを教えられなかった私は母親失格ね」 自嘲するように笑うお母さんを目の前にして、優のジョッキが揺れた。
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