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そこから出ると、シルヴァーノが立つ向こうに二人の男女が腰掛けていた。
何処からどう見ても、王と王妃であることが推察出来た。
「来たな」
シルヴァーノに促されて、さくらは前に出た。
目の前には豪華絢爛な衣装に冠を額に被せた、初老の夫婦がさくらを凝視していた。
「桜子……なの?」
「本当に、お前なのか?」
二人は前へ乗り出し、ポツリと尋ねる。
キョトンとしたさくらが口を開く前に、シルヴァーノが前へと出た。
「父上、母上、ここに居るのは伝説の方ではありません」
「何を言う、シルヴァーノ。
私達は今でもこの目に焼き付いておる、見間違うはずがない。そうだ、陽の光を反射する程漆喰の黒髪、白い肌に焦げ茶の瞳……焦げ?」
そこでカグヤは、はたと気づいた。
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