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再びシルヴァーノが呪文で出した光の輪を潜り、四人は跡形もなく消えた。
その姿を見えなくなるまで見送ると、ククリはポツリと呟いた。
「とても、いい子ね」
「すまない、ククリ。不快じゃなかったか?」
「不快?」
未だに動揺が消えないカグヤの問いに、ククリは心外そうに目を見開いて振り向く。
カグヤが過去に愛した桜子の子孫を目の前にして、信じがたいけども嬉しい思いはカグヤ自身の中にある。
しかし、ククリはかつて長い旅を共にして幾度の苦難を乗り越えた一番古い縁だ。
常にカグヤと桜子を温かく見守り、時には叱咤してくれていた。
今では夫婦として、王妃として多くの務めを果たしてきたククリに対し、罪悪感を抱いていたのだ。
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