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「なあなあ。
そのシルなんたらてとこにさ、カグヤて人居てたりする?」
ずずいっと顔を近づけて尋ねる少女の口から、意外な言葉を聞いて思わず絶句する。
「うちのお婆ちゃん、いっつもその人の話ばっかするんよ。
若い時好きやったみたいやけど、いつまでもその人の事考えんとお爺ちゃんの立場も考えろっちゅーねん」
「お婆……?
もしかして、桜子様の事か?!」
「へ?
せやけど?」
今度はずずいっと詰め寄ってきたシルヴァーノに、少女は大きく仰け反る。
伝説の子孫を目の前にして、シルヴァーノはすぐさま納得してしまった。
「さささ、桜子様を本当に知っているのだな?!」
「せやから、そう言うてるやん」
相変わらず詰め寄るシルヴァーノに、少女は不満そうに口を尖らせる。
その時、入口の扉が大きな音を立てて開いた。
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