第1章

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いつもの帰り道。 私は今日も彼と同じ道を通る。 彼は気怠そうに 口を開いた。 「昨日、また父さんに言われたんだ。ゲームする時間があるなら勉強しろって」 彼は私に見せつけるようにして さり気なく自分の髪を触りながら言う。 「ふーん。本当、ゲーム好きだね」 彼の袖のボタンが開いてる。 わざとだ。 彼はそうやっていつも 手首の傷を私に見せつける。 昨日も傷をつけたのだろうか。 また、傷が一つ増えた気がする。 「うん。でも勉強はちゃんとしてるよ」 彼は少し苦笑いをして言った。 「そうなんだ」 私はできるだけ 傷に気づかないふりをして 軽く流した。 「…」 沈黙。 いつものこと。 私達は中々会話が続いたことがない。 私が喋らないせいだけど。 だって、彼と話していても 全然楽しくないんだもん。
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