第3章

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「ホント良かった今日、雨で・・・あ、里美ちゃんバレーしてる」 正樹が女子の方を見ながら言う。 「でも、雨の日って大変だよね。体育館、半分に分けて男子と女子使ってさ」 拓人は男子のバスケの試合を見ながら話す。 俺達は自分の試合が始まるまで体育館の隅に座っていた。 「そうか。俺はいいけどなー」 正樹がにやけた。 俺は二人の会話を耳にしながら由香里を見る。 半袖、短パンの体操服を着ていて、俺と同じように友達と話ながら試合の順番を待っていた。 ....昨日、あの体を・・・そして、これからも。 ーーピー。 男子の試合が終わった。 「次、試合だって」 拓人と正樹が立ち上がり、俺もつられて立つ。 立ち上がった時、遠くだが、由香里と目が合った。 由香里はすぐに目を反らし、いつものように手を振ることはしなかった。 ....あんなことしたんだから当たり前だよな。 俺はゼッケンを着た。 ...もう、戻れないんだ。 ーーピー。 試合が始まり、俺は走り出した。 女子が男子の試合を騒ぎながら見ている。 ...戻れないなら、行ける所までいってやる。 俺はシュートを決めた。
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