第1章 宿星―赤と緑

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「何故……」 馬郭の額には尚香の放った矢が刺さっている。 「矢が1本だけと油断したのが死期を早めたわね」 これぞ、交叉双線(こうさそうせん)― 勇猛果敢で知られる、祖国呉の国の猛者達との厳しい訓練の中で編み出した、弓の秘奥義である。 彼女の並外れた弓を放つスピードを最大限に発揮した、二連続の放矢である。 さらには、寸分違わず同じ軌道を矢が走るため、相手には初動の1本しか見えない。
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