第1章 宿星―赤と緑
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「もう少し……」 あと二十間……十五間…… 正確に距離を測り、弓を射る体制をとったまま、馬を前へと颯走らせる。 野盗の一人が後ろ十間に迫った瞬間ー ーーヒュン 風を切り、紅矢が男の眉間に寸分たがわず突き刺さった。 「やりやがった!」 後方で男たちの怒号が響きわたる。 そのざわめきを楽しんででもいるかのように、ニヤッと口元に笑みを浮かべ、馬首を男たちの方へ向ける。
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