第1章

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ーどこまでも続く空。 俺がどんなに手を伸ばしても、 辿りつけない世界。 漆黒の夜の中で輝く星に俺は願った。 どこまでも行ける翼が欲しいー 「起きて下さいぃいぃ!!」 耳元で叫ぶ声に驚き俺は飛び起きた。 「なっ・・・なんだよっ!」 俺は、耳を抑えながら 俺の前に立っている少女に言った。 太陽のような金髪に、 空のような澄んだ青色の瞳。 すらっとした細身の身体は、 いかにも女の子という感じだ。 顔は凛々しく、童顔で、 誰もが見惚れるような美少女だ。 「もう朝の10時ですよ!起きて下さい!」 彼女は俺に言う。 「別にいいだろ!?休みなんだし!」 俺は彼女に言い返した。 「そんな事では、 立派な天使になれませんよ!?」 彼女は背中の翼をパタパタさせながら 俺に言った。 そう。コイツは天使。 星に願い事をしたあの夜、 俺の元へやって来た。 「俺は天使になる気は無い!」 俺は彼女に言い返した。 彼女の名前は”ステラ”。 なんでも、俺を立派な天使にするとかで、 俺の元へやって来たらしい。 「ユウトさん! アナタがお願いしたんですよ!? ”翼が欲しい”って!」 俺に指差しして、ステラは言った。 俺の名前は”吉川 雄翔”(よしかわ ゆうと)。 昔、母に名前の意味を聞いた事がある。 どうやら、 ”雄々しく翔ぶ”という意味らしい。 この話を聞いてからだろう。 俺が空に憧れを抱いたのは。 「わかったよ。 起きればいいんだろ?起きれば。」 そう言って俺はベッドから起き上がった。 俺とステラの天使修行ライフが 今日も始まる。
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