プロローグ

2/3
前へ
/513ページ
次へ
 「くそっ、その連鎖、今度こそ断ち切ってくれる」  「オマエにそれができるか? そうすればオマエも死ぬかもしれない。いや、”死ねる”かもしれないな」  そいつの頭を抱きかかえるようにして、そいつとの間を縮めていく。  そいつの持つ小刀が胸に突き刺さる。体の中にゆっくり刃が入っていくのが感じられる。  そこから体液が外に勢いよく噴き出していく。あまり痛みは感じない。  そいつが泣いているのか、嗚咽が聞こえる。  自分で刺しておいて勝手なものだ。  そして世界が光に包まれていく。何もかもが色を失い、白くなっていく。  瞳孔が開いていってるのだな。  やがて全身の力が抜けていく。次第に立っていられなくなり、膝が折れ、そいつに寄りかかる。
/513ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加