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――『門のとこにいる』
そんなメッセージを受信して、慌てて廊下に飛び出た。
正門を見ると、人の影。
「行ってくる!」
一緒に廊下まで出てくれていた久恵にそう早口で告げると、
「美希っ!頑張れっ」
そう背中を押してくれた。
3階から猛スピードで階段を降りていると、授業開始のチャイムが鳴る。
そんな音を振り払い、無心で正門へと急ぐ。
急いで靴を履き替えて行った先には、ジーンズと半そでのシャツに身を包んだ優が携帯片手に立っていた。
膝に手をついて、呼吸を整える私を見てため息。
「来る前に返信くらいしろよ…」
相変わらずの冷たいセリフ。
久しぶりの再会なのに、甘さのない優の言葉にはガッカリ。
でも、普段通りの優にホッとさせられもした。
「お帰りなさい!」
そう笑った私に、優は一瞬戸惑った表情を浮かべたけれど。
「…ただいま」
ほんの少し口の端を上げて、優は穏やかに笑った。
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