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焼鳥をたらふくご馳走になった。
無口で不器用な親子の変わりに、私と優のお義父さんがひたすら話す。
その会話に反発したり突込みを入れたり。
笑顔はなかったけれど、何度か言葉を交わす優とお母さんの姿に安堵した。
「今日は本当にご馳走様でした」
そう言った私の手を取り、両手でぎゅっと握りしめてくるのは、優のお母さん。
「ありがとう。本当にありがとうございました」
そう言い頭を下げて。
また涙を流して。
つられて涙を流した私を見て、優がバカにする。
その様を見て、止まっていた時間がゆっくりと動き出すのを感じた。
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