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優の両親を見送った後も、私たちは焼鳥屋の壁に体をあずけていた。
私の左肩と優の右腕がぶつかっていて、お互いの重みを感じる。
閉店時間を過ぎたカフェや本屋が明かりを消す中、いつまでもその輝きを絶やさないコンビニや居酒屋の明かりを、ぼんやりと遠くに見つめていた。
「お母さんもお義父さんも、ステキな人じゃん」
そう呟いた私に、
「最低だろ」
と優が言う。
「…そうだね、最低かも」
私がそういうと、触れ合っていた優の腕が揺れた。
「子供の前でケンカするなんて最低」
「……」
「結婚してるのに他の人と、なんて信じられない」
「……っ」
私の言葉に、もたれていた体をおこした優がギロリと睨む。
「だけどさ」
「あ?」
「だけど…っ!!」
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