第13話*心の音

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涙で濡れた目を上げると、すぐ上にある優の目が潤んでいた。 ぐいっと袖口で自分の目元を拭うと、次に私の涙も拭ってくれる。 「……っ」 涙を堪える優の姿。 無言で私の手を引き、駅に背を向ける。 目的地もないまま、薄暗い道を歩き続けた。 閑静な住宅街。 その静けさの中に、私と優の耐え切れない想いだけが響く。 「…信じれるわけねぇだろ」 暗闇に向かって、優が叫ぶ。 「信じれるよ」 私は答える。 「後から都合よく話をこじつけただけだ」 その声に、戸惑う優の姿が見える。
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