第13話*心の音

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「違う、優。それは違うよ!」 「違わねぇ」 歩む速度を上げる優に、繋いだ手が離れないように私は小走りで着いていく。 「もし後から話をこじつけたとしても、何でそんな事をする必要があるの?」 「あぁ?」 「優が大事だから…、好きだから話をこじつけたって事じゃん!」 「…うるせぇっ」 「どうでもよかったら、あんな話なんてしないよ!涙なんて流さないよっ!!」 「……っ」 「嫌われたままの方が都合いいじゃん!!」 最後は叫び声に変わっていた。 でも、私が言わなくても優だってわかってるはず。 だから泣いているんでしょ? 「優は、愛されてるんだよ」 私の言葉を受け入れるように、優はその足を止めた。 「うるせぇ、ってんだろ」 そうして降ってきた優の唇は、塩の味がして。 でも。 今までのどんなキスよりもやさしかった。
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