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「違う、優。それは違うよ!」
「違わねぇ」
歩む速度を上げる優に、繋いだ手が離れないように私は小走りで着いていく。
「もし後から話をこじつけたとしても、何でそんな事をする必要があるの?」
「あぁ?」
「優が大事だから…、好きだから話をこじつけたって事じゃん!」
「…うるせぇっ」
「どうでもよかったら、あんな話なんてしないよ!涙なんて流さないよっ!!」
「……っ」
「嫌われたままの方が都合いいじゃん!!」
最後は叫び声に変わっていた。
でも、私が言わなくても優だってわかってるはず。
だから泣いているんでしょ?
「優は、愛されてるんだよ」
私の言葉を受け入れるように、優はその足を止めた。
「うるせぇ、ってんだろ」
そうして降ってきた優の唇は、塩の味がして。
でも。
今までのどんなキスよりもやさしかった。
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