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あの日から、優は学校から姿を消した。
メールも電話も無視。
たけど、山田先生から『新しい家族で食事会をした』という話を聞いたから、もうすぐ会えるって思った。
長い長い優の不在はひとつの季節を終え、本格的な夏を目の前にしていた。
「あー、暑いっ!」
開襟シャツの胸元をパタパタと仰ぐのは久恵。
「すぐそこにある私立高って、クーラー完備なんだって?」
「うそぉ」
「マジで!プールも温室だから日焼けしないみたい」
「えー!なにそれぇ」
相変わらずの毎日。
ポンポン話が進んでいくクラスメイトの会話に置いていかれない様に。
そしてお菓子を食べ逃さないように食らい付く。
そんな時でも、やっぱり目線は持ち主が不在になった優の席へと向かってしまう。
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