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「黒岩先生、いなかったか?」
「えっと…返事がなかったんで。」
職員室にて。
教員は、何名かまだ残っており、そのうちの一人にくるみは声をかけた。
目的はスペアキーで実験室を開けてもらうためだ。
「実験室に用事があるんで…開けてくれませんか?」
「なら、スペアキー持って行ってもいいぞ。終わったら、黒岩先生に返してくれ。職員室に持ってきてもらってくれないか。」
「あ、はい。」
そう言って、その教員はくるみにスペアキーを渡した。
くるみは受け取り、ペコリと一礼した。
廊下は、薄暗い。
くるみは暗闇が怖かった。
(…教室、誰も残ってないんだ…怖いよ…)
くるみは諳所恐怖症だった。
足早に、くるみは実験室に着いた。
スペアキーは鍵穴に刺さり、カチャリ、と金属音を立て開いた。
「失礼します…」
そのまま実験室に入る。
と…
(何…?なんか、微かにタバコ臭い…?)
くるみは顔を顰めていた。
校内では、決して漂うはずの無い香り。
(っじゃなくて、電気!!)
真っ暗であることに、慌てふためき、くるみは照明を点ける。
途端、明かりがついたその実験室。眩しさにくるみは目を瞬かせた。
教卓の前の、くるみの席。
机を覗き込めば、プリント綴りがそこにあった。
「あった…良かった。」
目的の物を手に取り、くるみは大事そうに抱えた。
そして、教卓の横の木製の扉に向かった。
(ここから入った方が…先生も気づくよね)
そしてくるみは二回ほどノックをし、その扉を開けた。
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