先生の苦い秘密

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(…誰。ていうか、タバコ臭い。) 準備室は、整理されているように見えて、資料や実験道具などでごった返していた。 そして、教員用のデスクに、その人物はいた。 耳からは、イヤホンコードが繋がっていて、ノックが聞こえなかったことを証明していた。 タバコの臭いは、その人物がタバコを吸っているからという、至極シンプルかつ当たり前な理由。 しかし、如何せん場所がいただけない。 当然だが、校内などタバコの臭いが漂っていい場所ではない。 しかし、目の前に、事もあろうか椅子に座って机に脚を投げ出している人物は、平然とタバコを吸っていた。 (ちょっっ!?誰!?こんな先生居たっけ!?) 黒髪は無造作におろされていた。 整うことなく、ぼさぼさである。 閉じられた瞳。 カッターシャツは、上から四つくらいボタンが留められておらず、シワだらけだった。 (何してるんだろう…ていうか、黒岩先生に怒られるって!!) (先輩なのかな…こんな先輩居たっけ…っ何にせよ。) くるみは、一人納得したかのように頷いて、意を決したようにその謎人物に近づいた。 そして… 「あのっっ!!」 イヤホンを思いっきり引っこ抜いて、その人物の耳元で叫んだのだった。 驚いたその人物は、ビクッ、と肩を跳ねさせぱっちりと目を開けた。 (…意外に、幼い?) 瞳は、少し大きめだった。 状況が理解できていないのか、その目は白黒していた。 パチパチと忙しなく瞬きを繰り返す。 その人物は落ち着いたのか、ゆっくりと立ち上がる。 そして、くるみの名を呼んだ。 「間宮…?」 「あっ…あの。帰らないんですか?ていうか、こんなところにいたら黒岩先生に怒られますよ?」 「…んあー、それはないな。」 「ていうか、校内禁煙ですって。」 「あー…ま、そうだわな。」 「ていうか、先輩ですよね?多分。未成年でしょう?」 「っ?……っあぁ!なるほどな!!くくっ…はははっ!!」 何故か笑い出す、その人物。 くるみはますますその人物がつかめなくなり、首を傾げた
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