委員長の暗闇の秘密

9/9
前へ
/27ページ
次へ
教師と言っても… 外を出れば…いや、外なんか出なくても、他人なのだ。 そんな他人が、こんなにも暗い感情と葛藤に… 安易に口出ししていいものではない。 軽い気持ちで、この子と関わってはいけない… この子は、自分なんかより遥かに… 世界の闇を…社会の暗黒を知ってしまっている。 黒岩は直感し、そして、自己防衛に走ってしまった。 「俺に…関わるな。」 「先生?」 自分の、幼い逃げに、身を任せた。 ただ…面倒事からの、逃避に… 「俺は…お前の闇を背負ってやれるほど余裕ないんだよ。」 「背負ってなんて頼んでないでしょう?ただ…」 「居場所を求めるな…頼むから…俺の居場所を、お前の居場所にすんな。」 「…他人だから?…他人だから、先生も逃げるんですね…っ。」 そう言い放ち、くるみは俯いた。 信じて…いや、くるみは信じてみたかった。 自分に似た、臭いのするこの担任の教師を… くるみは思っていた。 一度だけでいい… 自分の暗闇を…誰かに見てほしいと… そして、その暗闇ごと… 自分を、ただ、居させてほしいと… 居場所が…欲しかった。 一人は…何よりも恐ろしく、だから… 自分の暗闇ごと…誰かの傍にいさせてほしかった… 「…そうだな。他人だよ。」 「…。」 「そうだな…」 ただ、訥々と… 黒岩は、呟き… 「分かった。」 「…ぇ?」 ガタ―― 「っ!?」 くるみは、黒岩の腕の中にいた。 何が起こっているのか…頭はグルグルとオカシナ速度で回り始めていた。 「間宮…いや、くるみでいいか。」 「せ…んせ?」 「くるみの…相談役になってやるよ。今のお前だけの、運命共同体だ。」 「っっ~~~///」 「勘違いすんなよ?ここに、お前から来た時、だけだからな?」 体が離され、真っ赤になるくるみ。 にんまりと、笑う黒岩。 「いつでも来い。その代り、お前が歩いて帰れる時間帯までな。」 「…いいんですか?」 「気が済むまでな。」 くるみは、魅力的に微笑んだ。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加