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教師と言っても…
外を出れば…いや、外なんか出なくても、他人なのだ。
そんな他人が、こんなにも暗い感情と葛藤に…
安易に口出ししていいものではない。
軽い気持ちで、この子と関わってはいけない…
この子は、自分なんかより遥かに…
世界の闇を…社会の暗黒を知ってしまっている。
黒岩は直感し、そして、自己防衛に走ってしまった。
「俺に…関わるな。」
「先生?」
自分の、幼い逃げに、身を任せた。
ただ…面倒事からの、逃避に…
「俺は…お前の闇を背負ってやれるほど余裕ないんだよ。」
「背負ってなんて頼んでないでしょう?ただ…」
「居場所を求めるな…頼むから…俺の居場所を、お前の居場所にすんな。」
「…他人だから?…他人だから、先生も逃げるんですね…っ。」
そう言い放ち、くるみは俯いた。
信じて…いや、くるみは信じてみたかった。
自分に似た、臭いのするこの担任の教師を…
くるみは思っていた。
一度だけでいい…
自分の暗闇を…誰かに見てほしいと…
そして、その暗闇ごと…
自分を、ただ、居させてほしいと…
居場所が…欲しかった。
一人は…何よりも恐ろしく、だから…
自分の暗闇ごと…誰かの傍にいさせてほしかった…
「…そうだな。他人だよ。」
「…。」
「そうだな…」
ただ、訥々と…
黒岩は、呟き…
「分かった。」
「…ぇ?」
ガタ――
「っ!?」
くるみは、黒岩の腕の中にいた。
何が起こっているのか…頭はグルグルとオカシナ速度で回り始めていた。
「間宮…いや、くるみでいいか。」
「せ…んせ?」
「くるみの…相談役になってやるよ。今のお前だけの、運命共同体だ。」
「っっ~~~///」
「勘違いすんなよ?ここに、お前から来た時、だけだからな?」
体が離され、真っ赤になるくるみ。
にんまりと、笑う黒岩。
「いつでも来い。その代り、お前が歩いて帰れる時間帯までな。」
「…いいんですか?」
「気が済むまでな。」
くるみは、魅力的に微笑んだ。
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