黒鬼先生と委員長

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そうこうしている内に… 実験室に着いたくるみと友人。 実験室に入ると、黒板には席順が書かれていた。 「…?」 そして、なぜか黒板の座席表…教卓の真ん前の席にあたる場所に間宮くるみの名はあった。 他は教室の並びに、ほぼ合っているにもかかわらず…間宮の名だけ、なぜか自教室の席とは全く違う位置にあった。 「先生?」 「なんですか。」 「私だけ…何故、クラスの席とは違うんですか?」 「学級委員でしたね、間宮さん。」 クラスメイトの視線が、一気にくるみに集まる。 同情…仄かに恐怖もにじむ視線…憐みも感じられる。 「えぇ…ですが、それとこの席はどう…説明するんですか?」 「…アナタは前担任の松上先生から聞きました。なんでも…優秀だとか?」 「…一応。優秀とか考えてませんけど、自分のやるべきことはやってます。」 「成績は常に上位だとも、聞きました。」 確かにその通りだった。 間宮くるみは、二年一組の学級委員長だった。 成績も優秀、運動もそこそこでき、性格も悪くはない。 故にくるみは、二年の生徒からは尊敬の念を抱かせていた。 だが… 「納得できませんけど?そもそも、理由が分かりません」 明らかに、不愉快極まりない視線を… くるみは黒岩に向けていた。 すると黒岩は、少し考える素振りを見せたかと思うと、一拍後にあっさりと答えた。 「成績優秀な君には、何かと手伝ってほしい事があります。私は君を評価しているんです。自分の意見を持つことは、人間にとって最も必要な事だと思います。故に、ハッキリと私に意見してくる君を私は頼りたいと言っているのです。」 「えっ!?」 「だから、この席配置にしました。君の意見が私にすぐ届き、振り向けば君の優秀な意見が、クラス全員に行きわたるように。」 「…。」 理に適っているかもしれないが、暴論にも聞こえる。 くるみは、複雑な顔をした。 すると、黒岩は目を伏せ言った。 「まぁ…あくまで私が君に頼りたいだけかもしれませんね…。席、変えましょうか。」 「いえ…あの、別に、ここでいいです。」 「…?そうですか。でしたら、授業を始めましょうか。」 くるみは着席する。 新任教師が、生徒を頼る。 この、冷血漢としか取れなかった教師の人間らしい発言に… 空気は少し、柔らかくなっていた。。
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