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痛覚を遮断する魔法は存在する。だが、それを使えば身体強化も解けてしまう。
そうなれば男のスピードにも力にも対応出来ない。
けれど、そんなこと必要ない。
「戦力半減だとか思った? 残念、アンタの負けだから」
男の目の前に小さな閃光を発生させる。
一瞬、目を瞑ったことを私は見逃さない。
腹に蹴りを食らわし、男を吹き飛ばす。
身体強化を解除し、魔力に余裕を作り左手を壁まで飛んだ男に向けた。
真っ赤に染まった左手にダガーなんてハイカラな装飾。笑えるよ。
私の手を中心で魔方陣が出来上がり、魔法が産み出される。
氷の針だ。
放たれた氷は男の腕、太股、足に刺さり、壁に固定される。
「左手の代償、高くついたね」
残ったほんの少しの魔力の右腕の強化に回し、大剣を引き摺りながら男の元へ向かう。
「何も聞かないし、聞きたくもない……アンタ、弱かったよ」
吐き捨てるように言って私は大剣を掲げ、終止符を打った。
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