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ただ1人、ロイドだけが残った。
ロイドの担当は料理、家計簿等と言った家庭スキルが必要なものばかり。
ともあれ、左手の痛みも退いてきた。
血も止まり、傷も見えない。煙が出ていてもやはり焼けただれることはなかった。
「はいおしまい。魔王様、不自由とか違和感あるかな?」
左手を閉じて開く。くるりと回し、いつもと変わらないことを確かめ、レイラに軽く礼を言う。
「ありがとう。住民の方はロイドに任せるよ」
私の声と共に豪快に開け放たれた扉。
レイラと私が移動させた視線の先には部屋の隅に左右半分になった趣味の悪いオブジェクトよりも屈強な男だった。
大股で歩いてくる男の身長は2メートルと少し。
タンクトップは肌に張り付き、膨れ上がった筋肉。後光を受けるスキンヘッドが眩しい。
「ロイド、今日の晩御飯は?」
そう。男、改めロイドこそ、屈強な戦士のような風貌すらするこの男こそこの城の家事担当なのだ。
頭を触りながらロイドはにこりと笑った。
「まだ考えてねぇ」
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