4人が本棚に入れています
本棚に追加
魔王が腹を空かせているのだ。今すぐ用意すると言え。とは思わない。
思ったところで、言ったところでロイドは動かないだろう。
魔物らしく力で示すにしても私の肉塊が出来上がるだけだ。
私の周りには変わり種しかいないのか。
「ロイド、アンタ何やってたの? 魔王様が命張ってたときに居ないなんて」
「いや、レイラも居なかったよね」
私の細やかな突っ込みも怒りを孕むレイラには流されて風に消える。
怒っているレイラに対してロイドは豪快に笑い、私の頭を撫でた。
「魔王、やるじゃねぇか。お前が殺ったんだろ? それとレイラよ、俺はその時は洗濯してたよ」
洗濯してるくらいなら手伝えよ。と、今さら何を言ったって後の祭りだ。問題は今この状況だ。
戦う前から今この時まで一貫して違和感がまとわりついている。
「レイラ、終わったことだから。それよりも訊きたいんだけど、気配も魔力も隠す魔法って知らない?」
レイラが光を放つまで私もロイドも、レイラでさえもその存在に気がつかなかった。
高度な魔法なのだろう。
先の男は魔術師ではなく暗殺者。その為のスキルだと割り切るのは簡単だ。
だが、おそらくそれだけなものではないのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!