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光を受けて鈍く光る鉄塊は何の仕掛けもない。
ただ、相手を叩き斬る為だけに特化した超重量の刃。
昔はもっと洒落た仕掛け満載の物を使ったいたのだが、どうもしっくりこなかったから捨てた。
元々私の魔力で作った物だから還元した。の方が正しいか。
「準備完了……面倒だから早くーー」
願わくは男がその場から動かず、防いでくれることだ。
簡単な身体強化を施し、下半身に力を入れ、踏み込む。
「ーー死んでね」
ほんの数十メートルだ。詰めるのに時間は必要ない。
振りかぶり、男の頭から股下までを切り裂く位置で大剣を下ろす。
男は腰に手を当て、武器を取り出そうとしたのだろう。
だが、ほんの一瞬動きが止まり、後ろへ飛び退いた。
一応、予想はしていた動きだ。
大剣の軌跡は直角に進行方向を変え、男に食らいつく。
「……ほう」
感嘆した様な男の声になまら不気味さを感じる。
直後、私の剣がその動きを止めた。
男が止めたのだ。ダガーの腹で私の大剣の突きを。
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