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「あ、サクヤさん。おはようございます」
「「おはようございます」」
「あぁ、おはよう」
朝から爽やかなフィーと子供たちの挨拶に続き、あうあう。とサフィンの声が室内に響いた。
「今日はパンとチーズと甘茶ですよ。ユイファさんに分けていただいたので、後でお礼を言って下さいね」
「あぁ」
椅子に腰掛けたと同時に目の前へ並べられる丸皿。焼きたてパンに、炙られててらてら光るとろけたチーズ、湯気たつ木製カップになみなみと揺れる甘苦い茶。
そして、にこりと笑いかけるフィーとサフィン。
「……」
思わずキスしたくなるのは、別に悪い事じゃないはずだ。
手招きし、屈み込んだフィーとサフィンへチュッと音を立てる。
「っ!さ、サクヤさん」
「きゃっきゃっきゃっ」
「サフィンは喜んでるぞ?フィーは嬉しくないのか」
「う、嬉しくないわけじゃ、ないですけど……でも今は」
もごもごと口の中で何か言ってるフィーを横目に、サフィンの頬をつついて遊んでやりながらパンとチーズを平らげる。
その向こうに、サラダムの子供たちが頬を赤らめて此方を凝視しているのが見えて笑ってしまう。
「良い朝だなぁ」
「……はい」
「きゃっきゃっ」
和やかで、幸せな朝。
だが、欲を言えば……早く自宅へ帰り着き、フィーを可愛がり、朝寝が出来れば満点なんだがな。
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