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歩いてそんなに経たない内に広い通りに出た。大通は右も左も小さな屋台がいっぱいに並んで賑やかで、僕らが何を買うか、どの店へ行くか決める間もなく、すぐにピシャリとした元気な声がかかった。
「いらっしゃい!あらっ、珍しい!ちょっとまっとくれよ。今旦那を呼ぶからさ」
いや、とサクヤさんが小さく言いかける声が聞こえたけれど、それを掻き消すほどの大きな声で屋台の女将さんは叫ぶ。
「…アンタっ、アンタァ!薬屋さんが来てるよ!」
サクヤさんは普段あまり店から離れず、僕が来る前は買い物も近所の子達に頼むほどだった。と、前に買い物へ来たときに女将さんが教えてくれた。だから、サクヤさんが店を離れ大通りへ来たときは、みんなザワザワするって。
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