第1章 出会い─告白編

8/31
前へ
/132ページ
次へ
…朝にも思ったけど、この人の肌は変な色だな。それに、髪や瞳が黒いのはたまに見かけるけど、ここまで真っ黒な人ははじめて見た。同じ黒でも、前に見た人はもっとくすんだような色だった気がするし、手入れが違うのかなぁ。 (父さんが倒れてからまともな生活してない僕とは、大違いだな…) でも、手入れをしていても、そもそもの色が全然違うんだから考えるだけ無駄かな。 バカな考えをやめて目の前におかれた食事に意識を戻す。 「……」 …それは、やっぱり何度見ても、お椀に入ったドロッとした白いなにかと、皿に盛られた萎びた野菜でしかない。 あと、コップに入った水。 「…あ…あの」 僕はなるべく顔に出さないような困惑した。 家の作りからお金持ちだと思ったけど、実は僕と同じくらいお金に困っているんだろうか。 目の前の、今にもスプーンで白いソレをすくい口に入れようとしている彼に声をかける。 「んぁ?…あぁ、カユ食べたことねーの?」 「カ、ヒュ?」 なんだろう、それは。食べ物なのは食卓に上がっている時点で予想できるけど、カヒュなんて言葉は聞いたこともない。 「か、ゆ。カユな。…んー、これは野菜だよ白い野菜をトロトロになるまでお湯で煮て塩で味付けしてある。アンタ昨日、体調悪そうだったし、朝飯は消化に良いものにした」 「はぁ」 「んで、こっちはツケモノ」 「え、っと、ツ、ケモノ」 「ちょっと酸っぱい野菜な。カユと一緒に食べると旨いぞ」 カユとツケモノ。 良く分からないけど、僕の体のことを考えて作ってくれたなら食べないわけにはいかない。残したりしたら、父さんに…父さんに叱られるし。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加