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「はあ、はあ…」
俺はバカみたいに息を切らせるほど全力疾走をし自室に駆け込むと、そのままベッドに潜り込んだ。
一体何してんだ、俺!?
気遣い屋のグリーンにまで心配かけて…!
俺は布団の中で丸まり、胸の前の青いタイツを握り締める。
くそっ、なんでここがこんなに痛いんだっ。
『綺麗だ』
ブラックの声が耳の奥でこだまする。
そうだ、俺は嬉しかったんだ、あのブラックの言葉が。
他の奴らに俺の美しさをどんなに褒められようと、この胸の隙間は一向に埋まらなかった。
なのに、ブラックに褒められると、ピタリと隙間が埋まった気がしたんだ。
そうだ、唯一、俺が欲しかったのはあいつの言葉なんだ。
あいつの言葉だけなんだ。
…でも、俺のただの勘違いだった。
「くそっ、バカみてぇだ」
俺は布団を蹴りやりながら自嘲の声を上げる。
結局、俺だけなんだ、こんな風にあいつの一挙手一投足に心を乱されてんのは…。
「…っ」
そう思い至ると、目頭に熱いものが込み上げそうになり、俺はギュッと瞼を瞑る。
その時、部屋の扉をノックする音が微かに聞こえた。
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