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桜の花はもう散り終えすっかりその色は緑となっている。そんな爽やかな景色の中、俺は黙々と校庭の除草作業をしていた。ちなみに今日は学校は休み。にも関わらず俺がこうして奉仕活動なんてものをさせられているのは、まあ俺のせいなんだが。
「おら、働け働け」
椅子に座りつつ、俺を監視するのは生徒指導部かつ担任、名前を将軍。通称、鬼頭優男(おにがしら やさお)だ。
「名前と通称が逆だ。そして、誰が将軍だ!」
重いげんこつが俺の脳天に直撃する。走馬灯が……
「なあ、何でこんな休みの日に俺は草取りなんかやらされてんの?」
「お前が寮生活のくせに毎日毎日遅刻をするからだろうが」
というわけです。
俺は自慢じゃないが、三日に一回は遅刻する。太陽と相性が悪いのか、はたまた生まれ持った主人公気質なのか、それは分からない。と言うか多分どっちも違う。
「口動かしてないで、手を動かせ、篠宮」
「うーい」
篠宮というのはお察しの通り俺のことだ。篠宮結希(しのみや ゆうき)これが俺の名前だ。17歳でこの学校の二年生。学校についてはまた後ほど話そう。
特徴はそうだな、髪の毛が赤いことだろうか?染めてない、地毛だ。とは言っても、今の俺の親父の遺伝ではない。俺は養子なのだ。三歳の時、今となっては唯一の血の繋がりを持つ兄と一緒に今の篠宮家にやってきたのだ。ゆえに、俺は本当の両親の記憶はない。顔も声も、その温もりさえも知らない。だが、別にそのことに関して俺はどうこうと思ってはいない。
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