第1章

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あたしの気持ち判ってるって、小栗は言った。 浮気なんか、絶対するはず無い。 小栗だって、そう思ってるでしょ? うろたえる私を見兼ねたレーナが、言葉の続きを発した。 「きっと彼は、 舞のことは信じてるわよ。 受身の舞が浮気するというより、 元彼の積極的な態度に、 奪われるんじゃないかっていう恐怖から、 どうにか手を打とうと、動いたんじゃないの?」 レーナが、自信たっぷりに告げたあと、 ウェイターがそっと運んだ、 からすみの冷製パスタへと手を伸ばした。 糸のように細いカッペリーニが フォークにまきつく様子を眺める。 「う、奪われるって、わたしが??阿部さんに?」 「そう、離婚して、 心身ともに身軽となった元彼の阿部さんが、 リヨンで再会した舞に、 あんな宣戦布告みたいなことやって見せたんだから、 日本に戻ってきて、 何もしないはずない。 普通、誰だってそう思うわよ」
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