第1章

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ワインのボトルを、ウエイターから奪いとり、グラスに溢れるほどになみなみと注ぎながら、 レーナの言葉に刺々しく、聞き返す。 「なんでって、彼氏でしょ? それも結婚の約束取り付けたような相手を、いつまでも苗字で呼ぶって言うのもね」 「でも、 小栗ってずっと呼んで来て、呼び慣れないというか、あっちも佐藤。だし」 「名前で呼び合ってないの?」 「あ、うん。なんとなくむずがゆいって言うか、今更って言うか...」 レーナたちが私を驚いた表情で見つめたが、 今更どのタイミングで、下の名前を呼べばいいのかも、良く判らない。
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