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着信を示す表示に12の数字。
つまり、12回の着信だ。
着信履歴の相手は名前のない、番号だけの表示。
誰なの…
一瞬でわけのわからない不安でいっぱいになった。
思い当たることは何もない。
動悸が急に激しくなって、早まる鼓動が私の指先を急(セ)かしている。
私は咄嗟にその番号のすぐ下にある祐介の名前に触れた。
何かがあったわけじゃない。
ただ…
祐介の声を聞かなければと思ったのだ。
デスクの脇でクラッチバッグの口を開けたまま、私はスマホを耳の位置で静止させた。
祐介の携帯電話は…
コールしなかった。
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