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少し長めのコール音は 私の不安を煽(アオ)り 鼓動を速めた。 『…もしもし?』 「…稲森です」 少し間を置いて電話の相手が口を開いた。 『…祐介…二宮祐介の兄です』 初めて電話越しに聞くお兄さんの声は 祐介の声によく似ていた。 全国展開されてる大手電機メーカーに勤めるお兄さんは、今は神戸に住んでいる。祐介の2歳年上で、去年結婚して、お嫁さんは妊娠中だと聞いていた。 祐介の実家には何度も足を運んでいるけれど、お兄さんと会ったのはほんの数回。 もちろんお兄さんの連絡先も知らなかったけれど そのお兄さんからの電話に、私は自然と身構えていた。
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