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あっさりしているけれど、疲れた身体を癒すようなオアシスメールに、自然と頬が緩む。
奏は特に地味というわけでもなかったが、かと言ってとりわけ美人で目立つタイプでもなかった。そんな平凡な奏だったが、誰に似たわけでもなく唯一ズバ抜けてピアノの才能があった。
音楽の世界では有名な名門校、城海音楽大付属高校音楽科に特待生で入学、その後、めきめきと頭角を現してさらにレベルの高い国立の音楽大学を主席で卒業。奏は音楽業界ではエリート道を猛進し、そのまま世界を股にかけるバラ色の演奏家になる――はずだった。
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