さよならマーメイド

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ラウはイルシオンを愛称で“イル”と呼ぶ。 イルシオンのサポート役、長年組む、相棒といえる存在なのだ。 ラウの言葉を受けて、イルシオンも、まったくだと頷く。 「ああ。不思議で仕方ないな」 「イルの指導でここまでなのはなぁ」 小馬鹿にしたように大袈裟なため息をつくラウに、ルーチェは拳を震わせる。 「出来が悪くてすみませんねぇ!! でもタガーは扱えてるじゃないですか!」 ルーチェは、身体能力が低いわけではない。 その運動神経はイルシオンも認めているのだが、それがどういうわけか剣術、武術には全く活かされない。 唯一小型のタガーが扱える武器である。 「任務時には武器の携帯義務がある。だから仕方なく持たせているんだ。下手なのにかわりはない」 「う…」 イルシオンは、口を開いたとしても嫌味と毒が飛ぶ。 だが、的を得ている事ばかりで、そこもルーチェが気に入らない所の一つであった。 .
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