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少しだけ弓を構える姿が格好いいと思って、口に出したのがいけなかった。
これはラウの説教タイムになってしまう。
「いいか、お嬢ちゃん。武器っていうのは…」
カーン、カーン。
説教を始めたラウを遮って、軽やかな鐘の音が辺りに響いた。
途端、弾かれたように、ルーチェが走りだした。
「おい、コラッ!!」
「説教は後で! 今日のお昼のAセットは競争率高いんだから」
助かった。
昼の12時を告げる鐘だ。
本当にAセットも狙っているし、そうでなくとも説教など聞いていれば、昼飯すら危うい。
ラウの怒声を背に、一目散に逃げ出した。
しかし―――。
「お前は、なぜその素早さを訓練で活かせないんだ?」
食堂に行こうと、出口へ向かったのだが、それは一人の青年に防がれてしまった。
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