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その青年の姿に、思わずルーチェの顔が引きつる。
「イルシオン先輩…」
出口を塞がれたかたちに立たれ、仕方なく正面で立ち止まる。
彼の名前は、イルシオン=オーラン。
ルーチェの教育係である。
御伽衛勇士の中でも、かなり有能として知られている人物だ。
頭の上で結ばれている髪は、光る銀。
青色で切れ長の瞳、均整の取れた、完璧とも言える顔立ちの美青年であることでも有名だ。
「先ほどまで、疲れた、もう無理だと言っていたはずが、ずいぶん元気になったようだな?」
「えーっと、これは、そう、ほら…空元気ってやつですよぉ」
ルーチェが、あはは。と笑って誤魔化すが、イルシオンは全く淡々とした表情を崩さない。
ルーチェは心の中で思い切り舌打ちをした。
女子ならこんな先輩から直々に指導されることは、憧れなのかもしれないが、どうにもイルシオンとは馬が合わないのだ。
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