さよならマーメイド

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ルーチェは溌剌としているのだが、反対にイルシオンは表情をあまり動かさず、口数も少ない。 何を考えているか分からず、冷徹な性格がルーチェには受け入れられないのだ。 「空元気でそこまで走れるなら、次からはもっと練習量を増やしてもよさそうだ」 「はぁ??」 ルーチェは耳を疑った。 教育係のイルシオンが戦闘訓練もしているのだが、その厳しさたるや、まさに地獄なのだ。 これ以上しごかれたら死んでしまう。 「ったく、速いな。本当にどういう作りなんだよ。お嬢ちゃんの体は」 反発の声をあげようとしたのだが、後ろから追ってきたラウに阻まれてしまう。 「何よ! セクハラ?」 ルーチェは、邪魔をするなとラウを睨み付ける。 「するか、そんなもん! その瞬発力、機敏さをもってて剣術の基本も出来ねえのがおかしいっての。なぁ、イル」 バシッ。と表紙でルーチェに突っ込んで、ラウはイルシオンの横に移動した。 .
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