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駅のホームへと向かう階段を降り、地下道を歩きながら、ポケットから携帯電話を取り出した。
午後の五時前だった。
話しがあると急に俺を呼びだした由梨絵との約束には、まだ、時間があった。
この時間にタトゥーショップを出るとは思わなかった。
約束の時間の一時間前の六時に切り上げるつもりだったが、斎藤さんの話しをこれ以上は聞きたくなかったのだ。
携帯をジーンズのポケットに戻し、恩あるタトゥーショップを飛び出したことに深く反省し、大きくため息をついた。
三十分ほど前、客が居なくなったのを見計らい、斎藤さんに仕事の終了時間を告げると、怪訝な顔を浮かべ彼女と約束があるのかと尋ねてきた。
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