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「・・・助けた? 何から?」
「お・・・」
答えようとした遥の意識が一瞬遠のいた。
「遥?」
様子がおかしいことに気がついた颯が、頬を軽くはたく。
再び目を開ける遥。
どこか焦点の合わない瞳。
宙をさまよう視線が、颯を捉えた。
「お、にいちゃん・・・」
「?」
一瞬、聞き間違えたと思った。
だけど、今度はしっかりとした声で、お兄ちゃんと、呼ばれた。
「遥・・・?」
「ごめんね・・・」
白い手が、頬に添えられる。
「ずっと、謝りたかったの。毎朝淹れてくれるカフェオレ、美味しかった。勝手にいなくなってごめんなさい。だけど、幸せだったよ。お兄ちゃんは、今幸せ?」
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