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「今も瑞希の側にいてくれたんだね」
微笑が浮かぶ。
「遥の父親として、そして瑞希の兄として、礼を言わせてくれ」
そう言って、頭を下げた。
◇
何を・・・
何を言っているんだ? この男は。
「顔を上げてください。あなたからお礼を言われるようなことなんてしてません」
そして、頭を上げた男と目が合う。
この目、どこかで・・・
「君の名前を聞いていなかった。教えてくれないか?」
「名乗るほどのものではありません」
「いや。今の名前じゃなくて、昔の。君が池田屋で傷を負った後、どうなったのか。ずっと気になっていたんだ」
ドクンと、心臓が跳ねた。
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