78人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、私と付き合ってください!」
夕暮れ時の教室。
誰もいない世界で一人、静寂を楽しむひと時。
見上げた茜色の空は、あの頃と何も変わらない。
変わったのは自分。
そして、自分を取り巻く世界。
窓から視線を外して、声の主に振り返る。
「君、誰?」
勇気を振り絞って、告白したものの、冷めた顔に、冷たい視線に、怯んでしまう女の子。
「えと、隣のクラスの・・・」
「名前、聞いても覚えられないし。」
覚えられないほど愚かではない。
でも、覚えておくほどの価値もない。
そう、判断しただけ。
最初のコメントを投稿しよう!