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「はーい! 麗那ちゃん、次は私!」
空き地に集まる集団。
そこでは一人の少女、麗那を囲むようにして子供達が座っていた。
その中で小さな女の子が大声を出しながら手を上げる。
麗那はふっと柔らかく微笑むと女の子に視線を向けた。
「はいはい、じゃあそこのお嬢ちゃん! お次は何をご希望かな?」
「語り姫!」
元気良く立ち上がった女の子は、男の子の中ではあまり知られてはいないだろう名前を口にした。
「誰だよそれー!」
「すっごい人なんだよ~!」
口を尖らせる男の子へ反抗して叫ぶその子に、自然と口元が緩む麗那。
少し寂し気な表情を浮かべる彼女は、小さく深呼吸をしてから顔を上げた。
「お嬢ちゃん、語り姫に興味があるのかい? それじゃあお次は語り姫のお話だ!」
麗那が声を上げればパチパチと拍手が上がる。
これが物語の始まりの合図だ。
「今回の物語は語り姫! さあさあ寄っておいで、見てお行き! 弾き語りの始まりだよ!」
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