嘔吐

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私は怒りをあらわにした。それを全てあなたにぶつけた。 吐き出した、赤く棘のある嘔吐物は、躊躇うことなくあなたの胸に刺さり、まばたくたびにボロボロにしていった。 あなたは、悪くないのに。 悪いのは私なのに。 あなたは優しく微笑むと私の頭を撫でて、子供を慰めるみたいに「大丈夫」と言っていた。 そのとき、今まで体温のなかったはずのあなたの手は暖かく思えたの。 あのとき私はあなたに愛した。 そして今はあなたが私を愛してくれている。 どんなときも支え合って、時に喧嘩して、それが友達。 今まで私達は「友達」なんて言葉を発することなくこの関係を続けていたから、だからこそ伝えたいなって。 あなたも同じだと嬉しい。 「これからも友達でいよう。」
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