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大きなアイツが世界の壁なのだとしたら、私はいつかソイツの壊し方を考えるだろう。 固定観念が強い、強い者が生き残れない世界なんて、なくて良いと思ってる。 つまりは、アイツの一部が私の世界の全てだったってことで。 トータルで小さい私がこの大き過ぎるやつを壊すなんて、到底できやしない。 いつかいつかで、きっとそのいつかというものは来ないのだろう。 全部ちっぽけな心が筆を取って書いた夢の話。 それをいつも、アイツは見ていた。 大きな視界に大きな耳、軽く聖徳太子を超えたやつ。 いつも澄ました顔して私の泣き顔を黙って見ていた。 見てるくらいならさ、助けてよ。 助けてくれないならせめて、私の感情を薄く薄く削って。 私が落ち込んでるとき、アイツは凄く綺麗な青色に染まっていた。 私がそうやって憂鬱になればなるほど、綺麗になってくアイツが大嫌いだった。 それなのに、時に真っ赤になって怒るような色に染まってたり、私の表情と一緒に曇ってくれたりすんの。 そんなん反則だって。 嫌いになんかなれないよ。
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