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鍋島の呼びかけにより、行動の指針が決まった。電話を直すというのははっきり言って無理、なら、やるべきことはもう一つしかない。まぁ、こちらが解決できればいいんだけど、そういうふうに上手くいくわけがない。
固く閉ざされた扉の前に立ち尽くす。この扉は私達が無断で出れないようになっている。開閉できるのは教師のみなのだが、
「なんなの、これ、鍵が壊されてるじゃない」
そう、鍵が壊されていた。この鍵はカード認証の教師のみが持つ、特別なカードを使わなければ開閉はできない。矢島が徹底的に破壊された機器を見つけ、叫んだ。どうにかしようとしているようだけれど、見ているだけでわかる。もう修復は不可能だ。
「大丈夫だよ。ほら、北見先生が買い出しに出てるんだし、それまで待てば、外から救助が」
と、鍋島の言葉に矢島と山城が安堵の表情を見せたが、私は口を開いた。
「来ないでしょ。救助なんて」
たぶん、それはない。変な希望を持つより、さっさと打ち砕いておいたほうがいい、傷は浅いほうがいい。
「どういうことなの、加藤さん」
「教室にあった首なし死体、あれはいったい誰って考えれば答えがでるんじゃないの?」
そう、誰も言わない事実、
「この建物内に居た人、全員が死んでいない。だったら、あの首なし死体が誰なのかわかるでしょ?」
「っつ!? あんた、あの死体が北見先生だとか言い出さないわよね。そんなこと」
「可能性としては、捨て切れないでしょ? ここに来客なんてほとんどないし、それに」
地面て手をつけて、視線を向ける。あるべき物がない。
「昨日は一日、雨が降っていた。もし、ここを車が通ったならタイヤの跡が残っていてもおかしくない。あとは車が車庫にあれば、それはもう確定なんじゃない?」
あの首なしの惨殺死体は、北見で間違いないという事実が、
「それと、早く死体をどうにかしましょ。そうね。早く冷凍庫に入れておくれ必要があるわ。早くしないと腐臭がこびりついちゃうし」
「それは賛成だけど、どうして、冷凍庫に?」
何を言ってるんだろう? そんなの当たり前じゃないか。
「食糧が尽きたら、食べるからに決まってるでしょ? 大切な食糧を腐らせるなんてもったいないことできないし、餓死したくなければね」
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