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後悔しながら、急いで部屋に戻りか神田に人形を返した。一段落したところで、山城が咳払い一つして切り出した。山城と鍋島は食糧確認にいったのだ。
「食糧は軽く見積もっても一週間といったところです。もちろん、かなり節約しなくちゃいけませんから、加藤さんの提案は…………一応、保留ということにしておきましょう」
「一応、食糧管理は私達がやることになったから、勝手に決めて悪いけど、加藤さん、湯川さんもいいよね」
山城の言葉を引き継ぐように、鍋島が言う。異論はないと頷く、湯川も同意したのかコクリと頷いて、私は言う。
「もちろん、死体を食べるのは最終的な手段になるし、冷凍していたからといっても劣化が抑えられるわけじゃないからそのつもりで」
まぁ、腐敗とだけ言わなかったのはせめてもの、良心だ。できることなら、私だって死体は食べたくないけれど、私はあの死体に『違和感』を感じていたが、ここで言うことでもないだろう。余計な波乱を巻き起こしたくはない。山城に、目配せして、今度は武器を探していた神田と矢島。彼女達がどんな雰囲気で探索していたかは、なんとなく想像はしたくない。
「武器って、呼べるものは特になかったとしか。まぁ、ここの施設の意味を考えるなら当然でしょうげどね」
矢島が自嘲混じりに言う。その結果はここに来て、なんとなくわかっていたことだけれど、
「むしろ、好都合なんじゃないの? 武器なんて手元にあるだで争いの種になりかねないし、この中の誰かが先生を惨殺した殺人犯だということは間違いないんだから」
と、私は言った。視線が一気に集まるけれど、構うものかと私は口を開く。
「みんなだって、うすうすそう思っているんでしょ? この中の誰かが人殺しなんだってこと」
「加藤さんっ!! あなたさっきから不安にさせるようなことを言わないでくれませんか!!」
山城がドンッとテーブルを叩いて、叫ぶが構わない。
「だったら、目を逸らすと? ここで餓死するまで居続けて、来るかもわからない救援を待つというの? 馬鹿らしいと思わないの。だったら、最初から犯人を見つけておいたほうがいいじゃない」
私は全員を見渡して言った。
「この中に人殺しがいるとしても、侵入者だとしても同じことよ。何もせずにいれば近いうちに死ぬことになるでしょうね。それが殺人犯の狙いなんでしょうから、ここから出るために」
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