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「仮に突き破れたとしても、その衝撃で車が爆破する可能性も否定できないわよ。私だけはやりたくないわ」
「あはは、そかそか、そうだよね。一応、提案してみたんだけれど、ダメだったみいだし」
と、鍋島が言い、そこで一端、解散となった。この校舎に人殺しがいるかもしれない状況下、お互いに顔を見合わせていても疑心暗鬼、猜疑心に陥るだけだ、それなら解散してしまったほうがいいだろうということで、私は一人で校舎を出て、外を出歩いていた。
「…………まぁ、当然と言えば、当然よね」
しゃがみ込みながら、車体のタイヤを覗き込む、ペシャコンコに潰れたタイヤはどうみてもパンクしていた。周到に根回しされている。潜んでいる殺人犯がどんな目的であれ、皆殺しにした挙げ句、一緒に心中でも企んでいるのだろうか。
「一応、武器はあったわね」
と、ある物を懐に隠しつつ、時間は過ぎていく。夜になり、監禁状態になって一回目の食事だ。できる限り長持ちさせるために食事は朝と夜の二食のみ、その間は各自で脱出の方法を考える。思いついた場合はこの場で提案すことになっているが、そうホイホイと妙案が浮かぶわけでもない。
「おい、どういうことなんだ。これだけの夕食で足りるわけないだろう」
ずっと引きこもりを貫いていた、大川が自分の取り分に文句をつけた。
「ご勘弁ください。大川先生、本校のほうから救援がくるまで節約しなくちゃいけないんです」
律儀に山城が言うが、大川はそんな言葉は聞いていない。大人と子供とは胃袋の大きさが違うらしいが、この状況下で贅沢はしていられないだろうに、もくもくと自分の取り分を食べつつ思った。
「ふざけるな、この程度で満腹になるか、門だったらこの人数で押せばいいだろう。その程度も思いつかないのか。湯川、湯川、お前の取り分を寄越せ、小食なんだからいいだろう。なあ?」
「はい、大川先生」
なんのためらいもなく、湯川が大川に取り分をさしだした。満足げに頷くきながら大川が租借し、それをニコニコと笑いながら、湯川が見つめるが、矢島も山城、なだめ役の鍋島ですら口出しはしなかった。または、そちらに気を向ける余裕はなかっただけかもしれない、空席の席、神田はどこかに姿を消したのだ。
夕食の時間になってもやってこない、神田を探したが、彼女がどこにいったかわからない。殺されたか、単純に逃げる場所を見つけたか誰にもわからない。
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