初め

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「あの日、お前が刺された日、私が調べた結果を話そう…あの日大きな物音に気がついた従者の一人が慌てて駆けつけると血まみれになって、ベッドでぐったりとしているお前と、離れた所で甲冑に頭をぶつけて気絶していた、お前の「元、ご主人様」がいたそうだ、」 話を一旦区切り、彼は葉巻を吹かす、あの日、あの部屋で私と「元、ご主人様」の二人しかいなかった事を強調した言い方だ、あそこで起こった謎の事件を彼も疑問に思っていたような気がした。 「急いで二人を病院に連れて行き治療してもらってから、先に「元、ご主人様」が目覚めて雲隠れしたそうだ、元、従者に話しを聞いたが知らぬ存ぜぬの一点張りだ…あの日何があったんだ?まさかお前…」 彼は吸い終わった葉巻をタコができている中指の第一関節に押し当てて火を消したあと、神妙な面もちになる、 彼の表情が変わったのは意味があった、 今、ジーク東国境付近で神風とオーラが激しい戦闘をしており、ここではミシナから買っている戦闘兵器の配給が遅く、(位置的環境では真逆の方向にあるため兵器の類が届かない事がある)遠距離攻撃ができるのは原始的に投石か弓のどちらかだが、それは魔法は使えないものの一つのやり方だが、もう一つの攻撃方法は魔法だ、オーラでは魔法が使える人間は否応無しに戦場に立たされて拒もうものなら即死刑になり、消耗品のごとく死んでいく、かたや神風では攻撃に繋がる魔法が使える者は戦場に呼び出されるが、拒否権はあり拒む事はできる、しかし、反乱分子になりかねないため十年間の禁固刑になりその後は有力な政治家でない限り執拗な監視が一生つきまとう事になる、私は死にたいと考えているが戦場で死にたいと考えてはいなかった、私の父と母は戦闘に巻き込まれて死んだと聞かされていたため、父と母と同じ最後は送りたくなかったのだ、それが私にできる戦争が理由で死んでいった両親への最大の親孝行だと考えていたのだ…
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